「初めて」の場数

日本人の英語習得が進まない理由のひとつに日本人固有の「対人恐怖症」があるという。欧米のカウンセラーから見ると日本人の99%が対人恐怖症らしい。初めての人に日本語ですら話しかけられない気質が、カタコトの英語からの上達を大きく妨げているという。

たしかに、知らない人、初めて会う人と接しなければならない時は気が重くなるし、できればそんな場は避けたくなる。しかし、ビジネスではそんなことは言ってられない。今後の主戦場はますますユーザーに近くなるだろうし、日本市場を虎視眈々と狙うグローバル企業との競争に勝つためにも、初対面の人相手にどんどん積極的にあつかましく商売をしていかねばならない。

そこで、自己マインドコントロールの出番となる。名刺や新規顧客カードを集めて積んでいく楽しみを作る、初めて会う人との1時間は既存の人との1時間より10倍の価値があると考える…など。肉食であるビジネスの戦いでは、初めて会う人、「初めて」の場数が勝敗を決めるというのは言い過ぎだろうか

3+

サラリーマン川柳に見る「パワハラ」

(ニューウェイブ誌2018年12月号コラムにて)

毎年9月から10月にかけて募集される第一生命のサラリーマン川柳。1986年に社内コンクール企画としてスタートして32回を数えるが、それぞれの時代のサラリーマンの“ホンネ”を代弁し、働き方の変化が表れる。2010年頃からは「パワハラ」にスポットが当てられ、部下に配慮する上司の姿と、自由な行動をする部下の姿を投影した句が多く登場する。たとえば「叱らずに育てた部下に怒鳴られる」「気遣いは昔上司に今部下に」「「辞めます」に上司どっきり「タバコです」」「頼みごと 早いな君は できません」等。中間管理職の苦悩はまだまだ続きそうだ。

その道の一人者に パワハラ、セクハラの境目(判断基準=裁判になった時の論点)を聞いてみた。

【パワハラの論点】

  • 業務(=教育的指導含む)の範囲を超えているか否か
  • 相手の人格・人権を傷つける言動になっていないか

【セクハラの論点】

  • 被害者の不快感の程度~同じ職場で被害者と同じ性に属する人達の一般的な受け止め方が基準
  • 職務上の地位、関係性

NO(いや!)と言えない立場である

私なりの判断は リスペクト(尊敬)を伴うソンタク、愛情(一人前にしてあげたい)を伴うコミュニケーションであれば胸をはってもいいのではと思う。ハラスメント菌を駆逐するのは、見返りを求めない無償の愛情ではないだろうか?甘いね君は、と言われそうだが、、、

4+

認められないのは、、、、

(ニューウェイブ誌2017年7月号コラムより)

 低迷していた女子ゴルフ界を浮上させ、世界のトップ選手として活躍してきた宮里藍選手が、現役を引退した。引退の記者会見は報道陣からの質問にも一つ一つ相手のほうを向いて笑顔で応じるすがすがしいものであった。座右の銘は「意思あるところに道はある」というリンカーンの言葉であり、「人生に明確な目的があれば、どんな困難でも乗り越えられる」と解釈される。行動を伴った人の言葉には説得力がある。

あえてこれに付け加えるとすれば大村智氏をノーベル賞に導いた「至誠天に通ず」という孟子の言葉がある。大村氏はこの意味を「ある地位についたら、あらゆる努力をする。そうすれば目指したものが大体実現できる。ごまかしでいい加減にやっているとだめだが、一生懸命にやっていれば必ず支援者も現れる」と、自らの経験で得た信条とともに学生に語ることも多いという。純粋なまごころを尽くして行動すれば、いつかは天に通じ認められるということである。

孟子の言葉を違った角度から解釈すれば、「認められないのは誠の心を尽くしてあらゆる努力をしていないからだ」となる。私のような俗人には、こちらのほうが効き目があるような気がする。

4+

スマホに振り回されるな!

(ニューウェイブ誌2017年11月号コラムより)

ここ数日、眼の奥が痛むので眼医者へ行ったところパソコン、スマホの見過ぎによる疲労だという。確かに身に覚えがある。基本的に事務局内では、ほとんどの時間パソコンに向かっているし、仕事が終わったら終わったでついついスマホいじりをして寝床にまで持って行ってしまう。まあ中毒一歩手前である。

昨今は操作も簡単になり、スマホに向かって一言声を出せば回答が出てくる。英語の変換もやってくれ分厚い辞書もいらないし、ご丁寧に発音までもしてくれる。

だから覚えることをしなくなったし、深く考えることをしなくなった。深く考える前に類似の事例を検索し答えを見つけて(その答えが正しいか否かも考えず)処理としてしまう。聞くところによると 平均的労働者は労働時間の60%をコンピュータによるコミュニケーションとインターネットの検索に使い 30%をメールに費やしているそうだ。そしてこの90%の仕事らしきものは、知的要素を必要としない補助的な仕事であり注意散漫な状態でなされることが多い。こうした作業は新しい価値を生み出さず、誰にでも(将来的にはロボットにでも!)容易に再現することができる仕事が多い。少なくともあなたでしか出来ない仕事ではない。

たしかに前述の生活を続けていると何か自分の思考で生きている実感がすくなく、ただただ時間を浪費しているだけで、生き生きと時を過ごしている実感が湧かない。そういえば生きている実感のある場面と言えば テニス、野球、ゴルフ、登山、釣りなどの身体を動かした後や、酒場で仲間と一杯やって大騒ぎをした後だったり、いずれもコンピュータとは離れた世界だ。

働き方改革につうじるかどうかはわからないが、スマホ等に振り回されないように、メールを見る時間を固定し、コンピュータの見る時間を半減するなどして、上司や先輩から学びとる時間にあてたり、集中して深く考える時間にあてたりしてはどうだろうか?

コンピュータに向かう時間が全て無駄とは言わないが、いずれロボットでも出来る仕事だと思えば、ロボットに出来ない仕事に比重を置いてはどうだろうか?

4+

サービスの有料化を

(ニューウェイブ誌2017年12月号コラムにて)

先般のシーテックジャパン展示会で人気を集めていた音声ロボットの研究のために、最近話題になっているグーグルホームのお試しコーナーへ行ってみた。説明員の方が丁寧に説明してくれ、次のような大体のシステムがわかった。本体は14000円と6000円の2種類あり、まずwifiの環境が必要なこと、そして連携できるアプリが必要なこと。現在は主に海外のアプリと連携が出来、(調べ物をする)(音楽をかける)(天気予報)(近くの場所を探す)(翻訳)(本日の予定確認)(ゲームで遊ぶ)などが出来る。一番の競合会社はアマゾン社だとのこと。

そしてITに疎い私が「説明書はさぞ分厚いだろうね」と問うと、若い説明員は少し怪訝な顔をして「説明書はありません」という。わからない所は皆さん検索してお探しになりますと言うが、ふと横を見ると、「初期設定ができない、操作がわからないに駆けつけます」という(訪問サポート:グーグルホーム設定コース)説明出張サービスのチラシがあった。なるほど私のようなIT音痴には有料での説明サービスがあるんだと納得してしまう自分がいる。価格は1ライセンスで11,800円。おそらく訪問サポートを受けている際に、必要な機器が増え、金額も加算されるのだろう。

我々の業界は従来よりサービス競争が激しく説明は無料が当たり前、場合によっては施主の所まで行って説明することもある。

ユーザーにはサービスの有料化が徐々に浸透しつつあり、配送なども値上げが当たり前と認識される現在、一歩ずつでもサービスの有料化に向け進めたいものだ。単品の売り切りではなく、販売後の有料サービスで利益をとる事業が成り立ちつつある。

4+

他とのつながりでワクワク感を出す

(ニューウェイブ誌2018年7月号コラムより)

総会が終わり新年度になった。学校に例えれば新学期というとこだろうか? 新学期といえば桜の季節に新しいクラスで初めての人と出会い、友達になり、心躍る時期であった。「心躍る」=「ワクワクする」について考えてみた。

昨今就職選択の自由は学生の方にあり、彼らは大量の情報を入手し、様々な職種の中で就職先を選ぶ。私たちの時代は「寄らば大樹の陰」などと堅実な企業に人気があったが、昨今は仕事観も変わり、インターネット業界、ファッション業界、電気自動車業界、インバウンド業界などなんとなくワクワクする業界に惹かれるようである。我々の業界は社会インフラの電気を担う大切で重要なものであるが、環境が大きく変化し「ワクワク」がそこらじゅうに溢れているにも関わらず、どうも閉塞感のほうが勝ってしまう。

ある講演で参考になる話を聞いた。経済産業省が我が国産業の目指す姿として「コネクティッド・インダストリーズ」を提唱しているが、他とのつながり(掛け算)でワクワク感が出てくるという。確かに電気単体で考えるのではなく、電気(エネルギー)☓ デジタル、地方/世界や人工知能・ロボット、電気自動車、金融、エコロジー、データマーケティング、インバウンドなど、今時流に乗っている物をエネルギーに掛け合わせると、商売の可能性が広がってくる。これからの時代、つながらねば乗り切れないのであれば、思い切ってコネクトをして業態を変化させ、なおかつワクワク感・期待感・未来感が創出されるのであれば一石二鳥である。

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