サービスの有料化を

(ニューウェイブ誌2017年12月号コラムにて)

先般のシーテックジャパン展示会で人気を集めていた音声ロボットの研究のために、最近話題になっているグーグルホームのお試しコーナーへ行ってみた。説明員の方が丁寧に説明してくれ、次のような大体のシステムがわかった。本体は14000円と6000円の2種類あり、まずwifiの環境が必要なこと、そして連携できるアプリが必要なこと。現在は主に海外のアプリと連携が出来、(調べ物をする)(音楽をかける)(天気予報)(近くの場所を探す)(翻訳)(本日の予定確認)(ゲームで遊ぶ)などが出来る。一番の競合会社はアマゾン社だとのこと。

そしてITに疎い私が「説明書はさぞ分厚いだろうね」と問うと、若い説明員は少し怪訝な顔をして「説明書はありません」という。わからない所は皆さん検索してお探しになりますと言うが、ふと横を見ると、「初期設定ができない、操作がわからないに駆けつけます」という(訪問サポート:グーグルホーム設定コース)説明出張サービスのチラシがあった。なるほど私のようなIT音痴には有料での説明サービスがあるんだと納得してしまう自分がいる。価格は1ライセンスで11,800円。おそらく訪問サポートを受けている際に、必要な機器が増え、金額も加算されるのだろう。

我々の業界は従来よりサービス競争が激しく説明は無料が当たり前、場合によっては施主の所まで行って説明することもある。

ユーザーにはサービスの有料化が徐々に浸透しつつあり、配送なども値上げが当たり前と認識される現在、一歩ずつでもサービスの有料化に向け進めたいものだ。単品の売り切りではなく、販売後の有料サービスで利益をとる事業が成り立ちつつある。

4+

他とのつながりでワクワク感を出す

(ニューウェイブ誌2018年7月号コラムより)

総会が終わり新年度になった。学校に例えれば新学期というとこだろうか? 新学期といえば桜の季節に新しいクラスで初めての人と出会い、友達になり、心躍る時期であった。「心躍る」=「ワクワクする」について考えてみた。

昨今就職選択の自由は学生の方にあり、彼らは大量の情報を入手し、様々な職種の中で就職先を選ぶ。私たちの時代は「寄らば大樹の陰」などと堅実な企業に人気があったが、昨今は仕事観も変わり、インターネット業界、ファッション業界、電気自動車業界、インバウンド業界などなんとなくワクワクする業界に惹かれるようである。我々の業界は社会インフラの電気を担う大切で重要なものであるが、環境が大きく変化し「ワクワク」がそこらじゅうに溢れているにも関わらず、どうも閉塞感のほうが勝ってしまう。

ある講演で参考になる話を聞いた。経済産業省が我が国産業の目指す姿として「コネクティッド・インダストリーズ」を提唱しているが、他とのつながり(掛け算)でワクワク感が出てくるという。確かに電気単体で考えるのではなく、電気(エネルギー)☓ デジタル、地方/世界や人工知能・ロボット、電気自動車、金融、エコロジー、データマーケティング、インバウンドなど、今時流に乗っている物をエネルギーに掛け合わせると、商売の可能性が広がってくる。これからの時代、つながらねば乗り切れないのであれば、思い切ってコネクトをして業態を変化させ、なおかつワクワク感・期待感・未来感が創出されるのであれば一石二鳥である。

4+

引き算の商売から足し算の商売へ

(ニューウェイブ誌2016年7月号コラムより)

先日ある商談をした。組合で斡旋してほしいという。すでにその商品は一部の会員企業が取扱い済みで、その他の会員企業へ広く展開したいとのこと。組合紹介となると手数料をいただくことになるがと話すと、それではその分高くなるとの話。わかりやすく具体的に数字を例に出すと、既に取組みの店の引き渡しが70掛けだとすると、組合経由の新規取組み店への引き渡しは72になるとの事。

しばらく違和感を持ちながら話を聞きお帰り頂いたが、ふと腕組みをしてしまった。手数料を出しても腹が痛まないんだ。ウーンこれが商売なのかも? 来局された会社の商品は電材商品とは違う設備関係の商品であったが、もしかしたら私の頭は長年の業界勤務で引き算しかできない頭になってしまっているのかも。異業種はしっかりと足し算の商談(当たり前?)なのかも?

確かに旅行業を見ても最初は格安の基本価格で契約し、オプションをつける(=手間がかかる)ごとに金額も上がるが、利益もしっかり増えている。インターネット商売も同じ、提示価格は安いが、オプションや配送料はしっかり定価でとられている(個人情報もしっかりとられている)。振り返ると件名の変更でVEという名のもとに 手間ヒマ・労力をかけて金額を減らし、利益までも減らして平気な感覚。ニコニコさえしている。

何かおかしい。当たり前ではない気がする。

利益の確保が厳しい状況なら、手間ヒマかけた変更や利益率の高い他商品とのセット受注などで しっかりと利益を上乗せする手法、意識を身につける必要がある。インターネット販売は自動的にそのようなシステムになっている。

2+

花の応援団

(ニューウェイブ誌2016年6月号コラムより)

東京での単身生活も早や3年になるが、昨年の秋に高校時代の野球部の1年先輩で立教大学へ進んだ方と再会し、時間のある時に神宮球場に六大学野球のリーグ戦を見に行くようになった。さすが東京の六大学は母校愛にあふれ、応援席やOBの方の母校愛には関西地方とは一風変わった景色がある。又、何度も観戦していると一発勝負の高校野球と違い、選手の名前も憶え又プロ野球にスカウトされる選手も出てきて、それはそれで結構楽しめるものがある。

先日、内野席ではなく応援席(甲子園ではさしづめアルプス席か)で観戦してみた。野球部専属の応援団とチアガールがあるそうだ。

応援団といえば、思い出すのが「花の応援団」、私たちの頃は硬派の代表であった。興味を持って観察してみると見た目は何ともやさしそうで現代風の軟な感じ。しかし声をからして観客の応援をリードをする姿(チアガールの女性も男性顔負けの大声で叫ぶ)を見てふと思ったのである。彼らは「自ら恥をかくことの出来る強さを身に着けてるなあ」と。これから社会に出ていく上での、成長するための大事な要素の一つをしっかりと学んで、一生懸命汗だくになり身に着けている姿を見て、頼もしく思った一日であった。

1+

小衆の時代

(ニューウェイブ誌2016年5月号コラムより)

死者130名を出した昨年11月のパリ同時多発テロに引き続き3月にブリュッセルの空港、地下鉄でも連続テロが発生した。一方国内に目を向けると山口組の分裂騒動で山口組と神戸山口組の抗争が激化しており、いつ多くの市民が巻き込まれてもおかしくない状況である。これらは地震や異常気象などの天災ではなく、あくまで人災であるから恐ろしい。

さらに 現在は、さまざまな意見を持った人が集う大衆ではなく、意見の合うもの同志が集う小衆の時代とも言われており、その小衆の意見が拡散・炎上するツール(SNS、報道、週刊誌、、、)にはことかかない。自分の意見、主張を持たない他責の時代の人々を誘導するには格好のツールである。作為的に悪へ誘導する輩も出始め、悪質な手口も頻繁に目にする。(マイナンバー制度や電力小売自由化など法の改正とともに必ず新たな詐欺が発生する)

質のいい情報か、悪い情報かを見分ける分析力、判断力をそれぞれ各自が磨かないと大変なことになってしまう。地道にひとつひとつ徳を積み上げて生きている人が、巻き込まれてしまわないようくれぐれも願うばかりだ。

1+

しつけ文化

(ニューウェイブ誌2016年4月号コラムより)

日本の文化は「しつけ文化」で外国(日本以外)のそれは「しかけ文化」と聞いたことがある。例えばパソコンの横にコップを置いて作業をした場合、こぼれて水がかかると大変なことになるので「コップがこぼれるといけないので他の所へ置きなさい!」と注意するのが「しつけ」で、コップを置けない様に、

パソコンの置台自体を少し斜めにするのが「しかけ」である。パブロフの条件反射の実験のようなものと言えばいいすぎだろうか。

日本(しつけ)が優れているとは言い切れないが5年前の東北震災で被災に遭いながらも順番に並んだように美徳というものの存在価値が大きい文化であり又それを誇りに思う。「しつけ」を漢字で書くと「躾」~なんともうれしい漢字である。

最近は、外国人の観光客が京都の舞妓さんの着物にタバコをポイ捨てしたというけしからぬ話も聞く。又、この「しつけ」が後回しになり、自分だけよければいいという考えや損得だけで走る風潮で人間関係がギクシャクして難しくなってきている。「しかけ」と「しつけ」…一文字違いで差異は大きい。

ロボットがチェス、将棋、さらに思考の究極にあると言われる囲碁の勝負でも人間に勝ってしまう時代。技術が発達しても心がおいてけぼりでは人間はロボットに負けてしまう。

1+

新しい価値の創造を

(ニューウェイブ誌2016年3月号コラムより)

関西のとある市長の成人式でのスピーチであります。賛否両論あると思いますが、そのまま引用したいと思います

「ハタチの皆さんが大事にすべきは、年上のアドバイスではない」みなさんの年上の人達からの所謂アドバイス的なモノは、もちろん皆さんへの愛からくるモノではありますが、ハタチの皆さんが大事にすべきことは、年上の人達のアドバイスではありません。たとえば年上の人達が「そんなの無理だ、やめておけ」と言ったとしましょう。その人は あなたがその挑戦に破れて失敗すること、そして その失敗があなたを大きく傷つけることを心配してそう言ってくれているのです。でも、その人が「無理だ」というのは、「その人にとって無理」だっただけで、あなたには可能かもしれません。またたとえその人の言うように失敗したとしても、その失敗した所から次の挑戦をすればいいだけの話です。

経験に基づく先人の言葉が価値をもつことも、ときにはありますが 彼らの言葉に束縛されることなく自らで判断し、新しい価値を創造するほうが重要です。自分で決断し、挑戦し、失敗し、這い上がり、限界を超え、自分で常識を疑い、新しい価値を創造し、恋をし、血と汗を流し、幸せをつかむ自由と責任があるんだという希望を 今日の成人式で新たにしてもらいたい。みなさんが これまでの人たちには無理だったことに挑戦し、新しい価値を創造できなければ社会は発展しません。

みなさんは、私たちの時代に発明できなかったものを発明し、救えなかったものを救い、実現できなかった夢を実現するひとたちです。

みなさまの若さに対して、最上級の敬意を表したいと思います。」

1+

リアルの現場は宝の山

(ニューウェイブ誌2017年9月号コラムより)

先般、連合会の行事の為に「下見」に行ってきた。昨今はインターネットで検索すれば情報はあふれかえっており、地上からの映像まで手に入る始末であるが、身体にしみついたものはなかなかぬけず 「下見」に動いた。

毎回「下見の必要性」については疑問符を持ちながら現地に向かうのだが、出張帰りには必ずといっていいほど行っておいてよかったと思うのが常である。現地を歩き回ることにより、又打ち合わせの会話中に必ず段取りに「抜け」があることに気づく。例は悪いかもしれないが「あ、雨がふったら傘はどうしよう」「あ、この急な登り坂を歩けばお客様にしかられる」「この時期はお祭りがあるので渋滞するかもしれない、だから移動時間を余分に見よう」「今回は年配のお客様が多いので宴席は堀座卓にしよう」などなど。

昨今は、政治でもマスコミでも表面だけのしかも切り取られた情報のみが流され、誘導されている感が否めない。しかし真実はひとつであり現場にしかない。昔から言い尽くされた言葉だが「百聞は一見にしかず」である。SNSで部屋にいながら世界の全てを知ったような気になるが、それは大間違いである。

日曜日の夜に「東大王」というクイズ番組がある。番組始まって以来負けなしの東大生グループが敗退したときの出題が「この風景は何県?」であった。写真を数枚みせて都道府県を当てるクイズだが このクイズで東大生は年配芸能人のゲスト組に惨敗した。まさに地方回りを経験してきた年配芸能人との「一見」の違いである。

若いころ「現場は宝の山」と教えられた。刑事捜査でも「現場百回」という。情報が発達した現在でも、誰もが見つけられるものではない「真実の宝物」は、きっとネット上ではなく、汗を伴う「現場」でしか見つけられないのではないかと思う。

2+

31種類のハラスメント

(ニューウェイブ誌2017年8月号コラムより)

人材育成のためにかかせないコミュニケーション減少の一因が「ハラスメント」の台頭である。ハラスメントとは「他者に対する発言・行動等が本人の意図とは関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えること」と定義されている。現在ハラスメントの種類は30種類以上あるというが、皆様はいくつご存じでしょうか?

セクハラ(セクシャルハラスメント)

セカハラ(セカンドハラスメント)

  • パワハラ(パワーハラスメント)
  • モラハラ(モラルハラスメント)
  • アルハラ(アルコールハラスメント)
  • ジェンハラ(ジェンダーハラスメント)
  • アカハラ(アカデミックハラスメント)
  • リスハラ(リストラハラスメント)
  • テクハラ(テクスチュアルハラスメント)
  • キャンハラ(キャンパスハラスメント)
  • ドクハラ(ドクターハラスメント)
  • カラハラ(カラオケハラスメント)
  • スモハラ(スモークハラスメント)
  • ブラハラ(ブラッドタイプハラスメント)
  • テクハラ(テクノロジーハラスメント)
  • エレハラ(エレクトロニックハラスメント)
  • エイハラ(エイジハラスメント)
  • シルハラ(シルバーハラスメント)
  • マリハラ(マリッジハラスメント)
  • スメハラ(スメルハラスメント)

㉑ エアハラ(エアーハラスメント)

㉒ ソーハラ(ソーシャルハラスメント)

㉓ オワハラ(就活終われハラスメント)

㉔ カジハラ(家事ハラスメント)

㉕ ゼクハラ(ゼクシャルハラスメント)

㉖ パーハラ(パーソナルハラスメント)

㉗ マタハラ(マタニティハラスメント)

㉘ ラブハラ(ラブハラスメント)

㉙ レイハラ(レイシャルハラスメント)

㉚ レリジャスハラスメント

㉛ 逆パワハラ

昔であれば「嫌がらせ、いじめ」の2語で語られ、「いじめられる方にも原因がある」などと両者成敗された感もあるが、これだけの種類と横文字のパワーはどうしても一人歩きしてしまう。難儀な時代である。

2+

若手以上の練習を

(ニューウェイブ誌2016年2月号コラムより)

年始のTV番組である著名なスポーツ選手の発言に「なにもしなければ落ちていくだけ。若手が台頭してきてどんどん追い越される。選手生命を伸ばすためには、若手以上の練習を積まねばならない。現状維持は後退である。」とあった。

マスコミ等で露出機会の多いスポーツ界では、生命体本来が持つ弱肉強食の世界がはきりと目に留まる。浅田真央や石川遼のように復活してくる者たち、室伏広治や吉田沙保理のようにトップに君臨しつづけているものの努力は想像を絶するものであろう。

同様にビジネスの世界でも取り巻く環境の変化とともに、新規起業がここが盲点とばかりに新しい発想を武器にして現れてくる。CMで見る自動車の自動運転、ロボット、自動翻訳機などかつて映画やマンガでしか見たことのない夢のようなというかウソのような世界が、IOTという時流に乗りもう目の前に来ている。ただ自社の状況を判断する時、スポーツのように目に見える点数などで現在の自分の実力、自分の立ち位置を確認しづらく勘違いが起こるのでやっかいだ。

商機は時速?kmで移動している。立ち止まっていては遅れて取り残されるだけ。しっかりと最低でも歩く歩道のうえには乗っていたいものだ。いや2020年へ向けて加速され、新幹線なみのスピードが必要なのかもしれない。

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