(2015年8月号コラムより)
部下指導、人材育成の指導法に「コーチング」という言葉を頻繁に見る。コーチと聞くとどうしてもスポーツでのコーチが想像されるが、自分でつかみ取った技術を人に教えることほど難しいことはない。名選手かならずしも名コーチならずである。長嶋茂雄のコーチは「こうきたら パッとこう打つんだ」と指導すると聞くが 松井のようなその域に達している選手には理解でき気づきを与える事ができるが そのような一流の選手ばかりではない。ましてや現在はインターネットの普及により世代間の格差が顕著になり、場合によっては言葉(言語)さえ通じないことがある。そしてさらに悪いことには 年配者の最新技術情報の不足、若者の教わりたいという要求の欠如(自分で調べた方が早いという現象)および お互いのコミュニケーションの場の不足がある
そしてとどのつまり「いちいち言わなくても わかっているはずだ」で済ませてしまい、意思疎通の欠落の結果 人間関係のトラブルまで発展する。「いちいち言わなくてもわかるだろう」というあなたと「きちんとわかるように言ってくれないとわからない」と反論する相手。手間に感じるかもしれないが 特に大切なことは わかっている事でも繰り返しつたえる価値はある。同時に自分にとっても再確認になる。無駄にはならない
「言わなくてもわかる」と思うことをわざわざ伝えるのが 信用を重ねるコミュニケーションである。それには手間と根気が不可欠である。若者が「うざい」と遠ざける「おせっかいのコミュニケーション」の重要性が高まっているのかしれない。