「鏡」のお話

(ニューウェイブ誌2021年12月号コラムにて)
夏のお盆休みに故郷へお墓参りへ行った際、住職さんにまあお茶でもと誘われ色々なお話を聞いた。
それは「鏡」のお話で、「あなたは、あなたを知っていますか?」という不思議な問いから始まった。
住職さんのお話をそのまま引用すると、最近「私は悪くない症候群」が老若男女を問わず急増している。自分の非は一切認めず、相手に責任を転嫁する人が圧倒的に多くなった。その原因を推測すると
① 核家族、少子化が進み、叱られた経験がなく大人になってしまった。
② SNSの時代で自分の偏った価値観だけが全てになった。
③ ネットやAI化が進み、すぐ答えを得られる分だけ想像力が低下、周囲の状況や気持ちを思いやることができない。
など超個人主義が急増している。このように自己主張ばかりする人が増えてくると、当然いさかい衝突が起きるのは当然のことである。
 仏道のことを内道ともいうが、内道とは、自分の内側、つまり自分の心の有り様を目をそむけることなくまざまざと眺めることである。私たちの目は外を向いているので、自分の内側は見えない。お寺のご本尊、み仏さまの御前に「大きな鏡」が祀られているのは、その鏡に自分の心を映し出しなさいと安置されているのである。
 現在の風潮を思いやり得心すると共に、「鏡」というものの意味がよくわかった。明日の朝から鏡の見方が変わりそうだ。そういえば三種の神器にもあったような。

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