リモートの賛否

(ニューウェイブ誌2020年10月号)
 政府が進めているデジタルトランスフォーメーション(DX)は、進め方を間違えると、対面が減り、活力を失う危険性があるとの見方がある。現在急速に普及しているテレワークを例にするとわかりやすい。
ここ数ヶ月試行錯誤で実施したリモートに触れて、ようやくなんとなくわかってきたた点がある。事務処理や情報伝達、知識の習得はリモートでも可能であるが、議論を戦わせて1つの結論を得るとか、難しい交渉の中で、双方ギリギリの着地点を探るとなると、リモートでは難しい。商売の勝ち負けも、そのような難しい場面で決まるものだと思う。又、偶発的に生まれるプラスαのアイデアは、直接会えばこそ生まれるものであろう。
 コロナを克服したら、「非接触」にぶれている軸を早期に「接触型」に適宜戻す必要がある。利点と弱点を正確に把握し、使い分けが必要だ。一時の流行で本社をなくしてしまうなどの極端な行動は危険だと思う。生産性をあげるという目的が主であるならば、行動内容や時間を加味して管理されていた制度から、成果、数字でしか判断のしようがないリモートへの移行について、評価の厳しさが増すことへの言及が後回しになっている感がする。(うがった見方をすれば、数字の出せない社員は不要という結論があっさりと出てしまう危険性がある)
色相の中に補色というものがある。反対色にあたる補色とあえて組みあわせることにより、より引き立つ美色になるという。リモート一色ではなく、絶えず反対色を意識しながらことをすすめるべきだと思う。

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