しあわせの国ブータン

(ニューウェイブ誌2016年11月号コラムより)

今夏の英国のEU離脱や直近のシリア情勢、北朝鮮、中国の動向など、世界の国々のリーダーは、アメリカのトランプ氏が象徴的であるが、自国の利益やナショナリズムに走っている兆候が見受けられる。調和などという言葉は最近ほとんど聞かなくなり、外交という大義名分の陣どり合戦が活発化して、自国が一番という危険な思想が蔓延してきているようで恐ろしい。個人に置き換えても電車の中の風景など見ていると、スマホの占領により他へ働きかける時間が減少し、内側に閉じこもる時間が増えて益々自閉的になっている。

過日上野公園を訪れた折、ブータンの記念事業が開催されていたので入ってみた。「しあわせに生きるためのヒント」「見るだけでしあわせになれるかも」というポスターのコピーにつられたのである。

私が感銘を受けた言葉を一部ご紹介させていただくと、「ゆっくり歩けばロバでもラサまで行ける」「他人のやった行いで悟りは開けない」「人生において永遠に続くものは何もないのです」「しあわせとは自分の持っているものを喜ぶことです」「自分のしあわせは 人の向こうにある」そして子供たちの言葉「皆のために祈るのがうれしい」「親の手伝いが出来てうれしい」

たしかに画像に映るブータンのお年寄り、子供たちの表情が素晴らしい。皆一様ににこやかで微笑んでおりで、かまえるところがなく、すべてを許すというオーラ、余裕がある。

「他者のしあわせを何よりも優先する」これがしあわせの秘訣という。ならば現在の自分が一番、自分だけ自分だけというこのご時世は、、、しあわせとはまるで逆の方へ直走っているのだろうか?

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