引き算の商売から足し算の商売へ

(ニューウェイブ誌2016年7月号コラムより)

先日ある商談をした。組合で斡旋してほしいという。すでにその商品は一部の会員企業が取扱い済みで、その他の会員企業へ広く展開したいとのこと。組合紹介となると手数料をいただくことになるがと話すと、それではその分高くなるとの話。わかりやすく具体的に数字を例に出すと、既に取組みの店の引き渡しが70掛けだとすると、組合経由の新規取組み店への引き渡しは72になるとの事。

しばらく違和感を持ちながら話を聞きお帰り頂いたが、ふと腕組みをしてしまった。手数料を出しても腹が痛まないんだ。ウーンこれが商売なのかも? 来局された会社の商品は電材商品とは違う設備関係の商品であったが、もしかしたら私の頭は長年の業界勤務で引き算しかできない頭になってしまっているのかも。異業種はしっかりと足し算の商談(当たり前?)なのかも?

確かに旅行業を見ても最初は格安の基本価格で契約し、オプションをつける(=手間がかかる)ごとに金額も上がるが、利益もしっかり増えている。インターネット商売も同じ、提示価格は安いが、オプションや配送料はしっかり定価でとられている(個人情報もしっかりとられている)。振り返ると件名の変更でVEという名のもとに 手間ヒマ・労力をかけて金額を減らし、利益までも減らして平気な感覚。ニコニコさえしている。

何かおかしい。当たり前ではない気がする。

利益の確保が厳しい状況なら、手間ヒマかけた変更や利益率の高い他商品とのセット受注などで しっかりと利益を上乗せする手法、意識を身につける必要がある。インターネット販売は自動的にそのようなシステムになっている。

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花の応援団

(ニューウェイブ誌2016年6月号コラムより)

東京での単身生活も早や3年になるが、昨年の秋に高校時代の野球部の1年先輩で立教大学へ進んだ方と再会し、時間のある時に神宮球場に六大学野球のリーグ戦を見に行くようになった。さすが東京の六大学は母校愛にあふれ、応援席やOBの方の母校愛には関西地方とは一風変わった景色がある。又、何度も観戦していると一発勝負の高校野球と違い、選手の名前も憶え又プロ野球にスカウトされる選手も出てきて、それはそれで結構楽しめるものがある。

先日、内野席ではなく応援席(甲子園ではさしづめアルプス席か)で観戦してみた。野球部専属の応援団とチアガールがあるそうだ。

応援団といえば、思い出すのが「花の応援団」、私たちの頃は硬派の代表であった。興味を持って観察してみると見た目は何ともやさしそうで現代風の軟な感じ。しかし声をからして観客の応援をリードをする姿(チアガールの女性も男性顔負けの大声で叫ぶ)を見てふと思ったのである。彼らは「自ら恥をかくことの出来る強さを身に着けてるなあ」と。これから社会に出ていく上での、成長するための大事な要素の一つをしっかりと学んで、一生懸命汗だくになり身に着けている姿を見て、頼もしく思った一日であった。

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小衆の時代

(ニューウェイブ誌2016年5月号コラムより)

死者130名を出した昨年11月のパリ同時多発テロに引き続き3月にブリュッセルの空港、地下鉄でも連続テロが発生した。一方国内に目を向けると山口組の分裂騒動で山口組と神戸山口組の抗争が激化しており、いつ多くの市民が巻き込まれてもおかしくない状況である。これらは地震や異常気象などの天災ではなく、あくまで人災であるから恐ろしい。

さらに 現在は、さまざまな意見を持った人が集う大衆ではなく、意見の合うもの同志が集う小衆の時代とも言われており、その小衆の意見が拡散・炎上するツール(SNS、報道、週刊誌、、、)にはことかかない。自分の意見、主張を持たない他責の時代の人々を誘導するには格好のツールである。作為的に悪へ誘導する輩も出始め、悪質な手口も頻繁に目にする。(マイナンバー制度や電力小売自由化など法の改正とともに必ず新たな詐欺が発生する)

質のいい情報か、悪い情報かを見分ける分析力、判断力をそれぞれ各自が磨かないと大変なことになってしまう。地道にひとつひとつ徳を積み上げて生きている人が、巻き込まれてしまわないようくれぐれも願うばかりだ。

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しつけ文化

(ニューウェイブ誌2016年4月号コラムより)

日本の文化は「しつけ文化」で外国(日本以外)のそれは「しかけ文化」と聞いたことがある。例えばパソコンの横にコップを置いて作業をした場合、こぼれて水がかかると大変なことになるので「コップがこぼれるといけないので他の所へ置きなさい!」と注意するのが「しつけ」で、コップを置けない様に、

パソコンの置台自体を少し斜めにするのが「しかけ」である。パブロフの条件反射の実験のようなものと言えばいいすぎだろうか。

日本(しつけ)が優れているとは言い切れないが5年前の東北震災で被災に遭いながらも順番に並んだように美徳というものの存在価値が大きい文化であり又それを誇りに思う。「しつけ」を漢字で書くと「躾」~なんともうれしい漢字である。

最近は、外国人の観光客が京都の舞妓さんの着物にタバコをポイ捨てしたというけしからぬ話も聞く。又、この「しつけ」が後回しになり、自分だけよければいいという考えや損得だけで走る風潮で人間関係がギクシャクして難しくなってきている。「しかけ」と「しつけ」…一文字違いで差異は大きい。

ロボットがチェス、将棋、さらに思考の究極にあると言われる囲碁の勝負でも人間に勝ってしまう時代。技術が発達しても心がおいてけぼりでは人間はロボットに負けてしまう。

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新しい価値の創造を

(ニューウェイブ誌2016年3月号コラムより)

関西のとある市長の成人式でのスピーチであります。賛否両論あると思いますが、そのまま引用したいと思います

「ハタチの皆さんが大事にすべきは、年上のアドバイスではない」みなさんの年上の人達からの所謂アドバイス的なモノは、もちろん皆さんへの愛からくるモノではありますが、ハタチの皆さんが大事にすべきことは、年上の人達のアドバイスではありません。たとえば年上の人達が「そんなの無理だ、やめておけ」と言ったとしましょう。その人は あなたがその挑戦に破れて失敗すること、そして その失敗があなたを大きく傷つけることを心配してそう言ってくれているのです。でも、その人が「無理だ」というのは、「その人にとって無理」だっただけで、あなたには可能かもしれません。またたとえその人の言うように失敗したとしても、その失敗した所から次の挑戦をすればいいだけの話です。

経験に基づく先人の言葉が価値をもつことも、ときにはありますが 彼らの言葉に束縛されることなく自らで判断し、新しい価値を創造するほうが重要です。自分で決断し、挑戦し、失敗し、這い上がり、限界を超え、自分で常識を疑い、新しい価値を創造し、恋をし、血と汗を流し、幸せをつかむ自由と責任があるんだという希望を 今日の成人式で新たにしてもらいたい。みなさんが これまでの人たちには無理だったことに挑戦し、新しい価値を創造できなければ社会は発展しません。

みなさんは、私たちの時代に発明できなかったものを発明し、救えなかったものを救い、実現できなかった夢を実現するひとたちです。

みなさまの若さに対して、最上級の敬意を表したいと思います。」

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