リアルの現場は宝の山

(ニューウェイブ誌2017年9月号コラムより)

先般、連合会の行事の為に「下見」に行ってきた。昨今はインターネットで検索すれば情報はあふれかえっており、地上からの映像まで手に入る始末であるが、身体にしみついたものはなかなかぬけず 「下見」に動いた。

毎回「下見の必要性」については疑問符を持ちながら現地に向かうのだが、出張帰りには必ずといっていいほど行っておいてよかったと思うのが常である。現地を歩き回ることにより、又打ち合わせの会話中に必ず段取りに「抜け」があることに気づく。例は悪いかもしれないが「あ、雨がふったら傘はどうしよう」「あ、この急な登り坂を歩けばお客様にしかられる」「この時期はお祭りがあるので渋滞するかもしれない、だから移動時間を余分に見よう」「今回は年配のお客様が多いので宴席は堀座卓にしよう」などなど。

昨今は、政治でもマスコミでも表面だけのしかも切り取られた情報のみが流され、誘導されている感が否めない。しかし真実はひとつであり現場にしかない。昔から言い尽くされた言葉だが「百聞は一見にしかず」である。SNSで部屋にいながら世界の全てを知ったような気になるが、それは大間違いである。

日曜日の夜に「東大王」というクイズ番組がある。番組始まって以来負けなしの東大生グループが敗退したときの出題が「この風景は何県?」であった。写真を数枚みせて都道府県を当てるクイズだが このクイズで東大生は年配芸能人のゲスト組に惨敗した。まさに地方回りを経験してきた年配芸能人との「一見」の違いである。

若いころ「現場は宝の山」と教えられた。刑事捜査でも「現場百回」という。情報が発達した現在でも、誰もが見つけられるものではない「真実の宝物」は、きっとネット上ではなく、汗を伴う「現場」でしか見つけられないのではないかと思う。

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