(2013年9月号コラムより)
「最近の生徒は『無菌のモルモット』のようだ」というのは、某大学の教授から聞いた話だ。素直ではあるものの、実体験に乏しいということだった。いろいろな体験をする場数を踏んでいないことから人間関係を構築することが苦手らしい。彼ら自身にも問題があるのかもしれない。しかし、現代社会がそのような人間を育ててしまう環境になっているとも言えるように思う。
社会生活に革命的な変化をもたらしたITの発展もその一因かもしれない。例えば、商品を売っている場所まで足を運ばなくてもネットで買い物が出来る。ある時、喫茶店で一つのテーブルに4人の若者が座っていた。しかし、会話はなくそれぞれがケイタイやスマホを触っていた。非常に奇異に感じた。
ただ、若者が中高年より劣っているということは決してないと思う。彼等はITに精通している。我々世代が抱えている外国人へのいわれのないコンプレックスも彼等にはないようだ。そのように考えると、彼らに無限の可能性を感じる。
若い時はスポンジが水を吸い取るように物事を吸収する力がある。この世の中で最も大切なことは人とのコミュニケーションであることを教えたいし、人の目を見て会話するよう促したい。 [事務局長-宮軒治雄]