無くなってほしい言葉

(2018年10月号コラムより)

今年1月に「広辞苑」が10年ぶりの改訂をし、新たに1万語が追加された。時代の変化と共に言葉も変わってくるのであるが、一方では、早く無くなってほしいコトバもある。

ひとつは「ちくる」。言いつける、密告する、他人の悪事を陰で通報する事という意味で、語源は「ちくん」「ちくちく」などの擬態語から生まれた動詞である。最近のテレビの話題はほとんどこの「チクる」からスタートし、民間企業、官庁、政界、スポーツ界、芸能界など話題にことかかない。密告だから言われたほうは否定材料を整えて対抗するので勝負がなかなかつかず、マスコミの格好のネタ(低レベルの)になる。昔なら「文句があるなら本人に面と向かって言え!」である。インドネシアでのバスケット日本代表選手の件も、発見した人には「チクる」のではなく、その場で注意して止めてほしかった。

もうひとつは「へりくつ」。屁理屈とは議論を免れた、的を外した論理で、語源は「屁のようにたよりない理屈」である。皆様ご存じの「朝ごはん論法」のように「朝ごはん食べたか?」「ご飯は食べてません(パンは食べたけど)」が代表作である。昔なら「聞かれたことにキチンと答えろ!」で一蹴された。

いずれも未来ある子供たちの前で、大の大人がまじめにこれらを使用しているのは、滑稽でもあるが、大変不愉快である。

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